コラム
読んではいけない・・・
しばらくご無沙汰しておりましたら、年末になってしまいました。
皆様ご多忙とは存じますが、いかがお過ごしでしょうか?
今年も人材難で苦しい展開を強いられておりましたが、年末近くになって個人的にようやく明るい光明が見えてきました。
さて、今年かなり話題になった『ホモ・デウス』(ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、上・下巻)って読まれましたか?
正直言って、書いてある内容がほとんどの方にとって悲劇的な内容になっているので、覚悟の無い方には読むことをお奨めいたしません。
特に小さなお子さんをお持ちの親御さんには・・・。
我々のやっているほとんどすべての仕事がアルゴリズムとして表記されるようになる。
もっと極論を言うと人間自体がアルゴリズムとして表現できるようになり、ほとんどの人間の存在価値が消失する時代が到来するという結論です。
一方で、ごく一部のエリート層は、若返りの施術や頭に高性能チップを埋め込むことにより、バージョンアップし続けるので、生身の人間はとても太刀打ちできなくなることになるそうです。
普通の作家であれば反論もしたくなるのですが、この作者は前作の『サピエンス全史』から始まる、人類の誕生以降の歴史を冷徹な目で俯瞰し考察しているため、説得力があります。
この本を読んだ後に、ジョージ・オーウェルの『1984年』などを読むと効果抜群です(絶対にお奨めしませんが)。
これからはアルゴリズム(手順書)を設計できるかで、天地の差が生じてくるようです。
何も難しいことではなく、例えばクックパッドに載っている料理の手順書などは立派なアルゴリズムです。
今回はこのアルゴリズムが主題です。
私は「日本人とは何か?」という問いの下に、折に触れ司馬遼太郎全集をランダムに読んでいるのですが、最近は千葉周作の半生を描いた『北斗の人』を読み、アルゴリズムの威力を感じました。
千葉周作はご存知の方も多いと思いますが、主に19世紀の前半に活躍した剣術家で坂本龍馬も学んだ北辰一刀流の開祖になります。
龍馬の師匠は周作の弟・定吉の長男の重太郎というのが有力説です。
因みに、定吉・重太郎の道場は東京駅の前の常陽銀行のある三井ビル近辺にあったようで、しかも東京国際フォーラムは昔、土佐藩の上屋敷があったので、あの辺を歩くと龍馬の足跡を偲ぶことができます。
話が脱線しました。
この周作は、生まれつきプライドが高く、傲岸不遜の部類に入るのですが、動体視力が並はずれて優れていたのに加えて、その当時存在していた剣術をほぼすべて分析して六十八手に分類し、それを誰にでも分かりやすく体系化して解説(アルゴリズム化)できたということが、従来の剣客と大きく異なっていたそうです。
他の剣客は剣に哲学的な思想や宗教的な神秘的態度を加えて敢えて分かりづらくしていた傾向があった一方で、周作は「剣は理である。」と明確にして、分かりやすく教えていたことにより、門下生が爆発的に増えました。
これは、自分の過去の成功体験から、根性論や精神論で経営していた企業オーナーに対抗して、合理的な経営でアルゴリズム化に成功して成長した新興企業オーナーという対比もできるのではないか?と思います。
因みに、千葉周作は各地で道場破りを繰り返し、実質的に道場のM&Aも行っておりました。
企業家としてみると参考になる点も多々あるので、宜しければ読んでみてはいかがでしょうか?
ということで、私もアルゴリズムを独学で勉強して、現在の人材紹介業務のアルゴリズムを作成してみようと思っております。
企業の求める人材要件に対して、その企業独特の人材嗜好を加味しながら、いかに理想的な候補者にたどり着くかというゲームになるかとは思いますが、既に人工知能を使ってSNSなどのワードを検索し人材サーチをしている紹介会社もあると聞いております。
人材紹介の業務プロセスが簡単に表されるのであれば、この仕事は早晩無くなると思うので、そういった意味でも大事な試金石になるかもしれません。
途中で分からないことがあったら、どなたかご教示いただけると助かります。
それでは、良いお年を。