コラム

私の人生のターニングポイント Vol.1

ピンチの時は前向きに開き直る。

それは、15年前の春の昼下がり。
その頃の私は日系大手証券を辞めて米系大手投資銀行の債券セールスに転職して3年目で、ようやく会社にも慣れ始めていた頃でした。日系証券のころから親しくしていた某大手銀行さんから、突然電話があり 10年国債を1000億円近く売りたいという注文を受けました。
トレーダーにレートを確認して提示して、直ぐに約定になったのですが、現物国債のヘッジに使われる先物市場で同時に2000億円以上売りが出て、気配値は10銭以上値を下げトレーディングデスクは嫌な雰囲気に包まれていました。(ヘッジの売りが間に合わなかった。)
市場の終了後、トレーダーの一人に部屋に呼ばれ「先ほどのトレードで1億円近い損失が出たのでどうしてくれるのだ?」と詰められました。
どうも、他の複数の会社にも同時に注文が出て、受けた業者が一斉にヘッジのため先物に売りを出したという事情だったようです。

外資系証券の場合、トレーディングデスクを守るということが至上命題であったため、トレーディングデスクに損失をださせるなど言語道断の行為だったわけです。
その時、目の前が真っ暗になり来月にはもう席がないかもしれないという焦りと、今この難題をどう切り抜けるか?と30分ほど悩みました。
出た結論は
「どうせクビになるのだったら、最善の努力をして悔いのないようにしよう。」
ということで、アポなしでその銀行さんに伺いました。
たまたま、ヘッドの方がいらっしゃってお話を直ぐにできたのはラッキーだったかもしれません。

その席で
「本日はご注文ありがとうございました。ただ、本日のような発注ですと我々業者が共倒れになってしまうため、事前にご相談いただければ、弊社1社で全部注文を受けますし、外部に情報が漏れることもございません。」
と出入り禁止覚悟で丁重に申し上げました。
因みに大手機関投資家は非常に神経を使わなければならないお客様で、先方の機嫌を損ねると無言のうちに発注が停止して、営業は翌日から稼げなくなるということも良くある話なのです。
ただ、先方のヘッドは非常に理解のある方だったので、翌日に1000億円をレート指定でご注文をいただき、何とかトレーディングデスクにもメンツが立ったという次第でした。
それから以降は、お客様の売買動向はできるだけ事前にいただくようにするために、コミュニケーションをより密に取る様になり、この習慣はその後のビジネスでも役に立ちました。

ただ、その後自分の慢心からとんでもないしっぺ返しを受けるようになるのはそれからしばらく経ってからですが、それはまた次の機会に話します。

 

担当コンサルタント

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