法務博士と法学博士は、学びの目的や博士号を取得した後のキャリアパスが異なります。

この記事では、それぞれの博士号を取得する方法やキャリアパスについて解説します。

法務博士とは

法務博士は、四年制大学を卒業後にロースクール(法科大学院)を修了することで取得できる専門職学位です。

ロースクールは、裁判官や検察官、弁護士といった法曹を増やすことを目的として、2004年から開設が始まった大学院です。

ロースクールには2年コースと3年コースがあり、主に法学部出身者は2年コース、他の学部出身者や社会人などは3年コースで学びます。

ロースクールが開設される前は、司法試験の受験資格を得る方法は「予備試験」という難関試験に合格するしかありませんでした。しかし、開設後は、法務博士の取得者も司法試験を受験できるようになりました。

法学博士とは

法学博士は、法学の研究者養成を目的とする大学院で、博士課程を修了することで取得できる学位です。

博士課程には、博士前期課程（標準修業年数2年）と博士後期課程（標準修業年数3年）があるため、最短でも5年間は在学することになります。

また、在学中は法学に関する専門性の高い研究活動を行い、学会誌に掲載されるレベルの論文を発表することが求められます。

提出した論文が評価されなければ、法学博士の学位が取得できないこともあるほど、厳しい世界です。

法務博士と法学博士の違い

法務博士と法学博士は、いずれも法に関する博士号ですが、次の点で違いがあります。

学びの目的

法務博士は、裁判官や検察官、弁護士といった実務家になるための勉強をした人が取得できる学位です。

具体的には、憲法や民法、刑法といった法律を体系的に学ぶほか、演習形式で事例検討を行ったり、法的文書作成の練習をしたりと、実務に即した訓練も行っているのが特徴です。

実際に、法務博士を取得した人の多くが司法試験に挑戦します。

一方の法学博士は、学問として法について研究した人が取得できる学位です。

研究テーマの一例としては、法制度の歴史的背景や諸外国との比較研究、哲学的検討などがあります。

他にも、各自の関心に基づいて幅広いテーマについて研究しているのが特徴です。

博士号を取得した後のキャリアパス

法務博士を取得した人は、司法試験を受けて合格した後、裁判官や検察官、弁護士になる人が多いです。

また、法学博士を取得した人は、大学教員になったり、シンクタンクの研究員になったりと、引き続き研究職に就くケースが多くみられます。

法学博士を取得した人が法曹を目指す場合は、司法試験の受験資格が無いため、まずは予備試験に合格しなければなりません。

法務博士・法学博士ともに、一般企業の法務部門や知財部門などに就職して、専門知識を活かしながら活躍する人もいます。

まとめ

法務博士と法学博士は名前が似ていますが、学びの目的や博士号を取得した後の主な進路が異なります。

ただ、どちらの学位でも、取得後に一般企業で活躍する方がいるのも事実です。

人によっては、法曹や研究者になるよりも一般企業で働く方が向いていたり、収入が増えたりする場合もあります。