転職ノウハウ

建設DXとは|建設業界でDXが必要な理由や導入事例を紹介

目次

この記事では、建設業界におけるDXの必要性や課題について解説します。

 

併せて、建設DXの導入事例も紹介しているので、建設業界への転職を検討している方は参考にしてください。

建設業界のDXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略で、デジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織を変革することです。

 

単なるIT化と異なり、テクノロジーを通じて業務プロセスを改革して企業の競争力を高め、新たな価値創出を目指します。

 

建設業界のDXは、ICTやAI、IoTなどの最新テクノロジーを駆使し、従来の労働集約型の建設現場を技術集約型のスマートな現場へ進化させる取り組みです。施工管理、設計、安全管理などあらゆる工程でデジタル技術を導入し、生産性向上や働き方改革の実現を目的としています。

 

建設業界のDX化は、道具や機械をデジタル化するだけでなく、業界全体の構造的課題を解決する先駆的なアプローチと言えます。

建設業界でDXが必要な理由

建設業界はさまざまな課題に直面しており、課題解決や業界全体の持続可能な成長に向けて、DX導入が期待されている状況です。

 

建設業界でDXが必要な理由を紹介します。

人材不足

建設業界は、高齢化と若手入職者の減少により人材不足が進んでいます。

 

国土交通省が発表した「建設業を巡る現状と課題」によると、建設業就業者は55歳以上が35.9%、29歳以下が11.7%と若手入職者は年々減少傾向です。

 

建設業就業者の全体数も1997年の685万人をピークに減少しており、2022年には479万人と、ピーク時から約30%減少しています。

 

高齢の技能者が引退することで技術継承が困難になり、現場の生産性や品質維持が危ぶまれている中、DX化は人材不足を補う有効な解決策として期待されています。AIやロボット技術の導入により、少ない人員でも高度な作業がしやすくなるでしょう。

 

また、労働環境が改善されることで若手にとって魅力的な職場環境となり、入職希望者増加も見込めます。

業務効率化

建設業界では、紙ベースの作業や手作業による管理の必要な業務が多く、業務効率化の余地が大きい状況です。

 

2024年4月より、働き方改革関連法によって時間外労働の上限規制が適用されており、時間外労働の削減も急務です。DX化を進めることで、作業時間の削減が期待できます。

 

例えば、クラウドシステムを導入すると、現場と事務所間のリアルタイムな情報共有が可能なため、直接やり取りする手間を省くことが可能です。

 

意思決定の迅速化や工程管理の効率化にもつながり、長時間労働時間の適正化が進めば、労働者の健康やモチベーションの向上も望めます。

作業の安全性向上

建設業界の労働災害における死亡者数は、2023年から2024年にかけて20.6%減少しましたが、作業環境の安全性向上は依然として重要な課題です。

 

建設現場では、高所作業や重機の操作、夜間工事など、危険と隣り合わせの作業が多くあります。作業の安全性向上に際し、DXの活用は大変有用であると言えます。

 

例えば、ドローンやロボットによる危険箇所の点検・作業により、作業員の危険リスクを低減するなど、テクノロジーを活用した新しい安全対策が実現可能です。

 

さらに、VR・AR技術を用いた安全教育により、実際の危険を体験することなく効果的な訓練実施も可能です。

 

建設業におけるDXの推進は、作業員の安全確保と、より安心して働ける職場環境の実現に貢献することが期待されています。

 

参考:厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」

建設業界が抱える課題やDXが進まない理由

建設業界のDX化を進めるには、建設業界ならではの課題と向き合う必要があります。

 

ここではDX導入において建設業界が抱える課題や、DXが進まない理由について解説します。

デジタル人材の育成

建設業界におけるDX推進の大きな課題の一つは、DX化によって使用するツールなどを扱えるデジタル人材の不足です。

 

経済産業省が実施した「IT人材需給に関する調査」によると、日本のIT人材の需要ギャップは2030年には約79万人に拡大し、さらに深刻化すると予測されています。

 

建設業界においても、DXを推進できるデジタル人材の確保は喫緊の問題です。

既存の従業員に対するデジタルスキル教育や、外部からのデジタル人材の採用、専門企業との協業など、さまざまな方法で人材確保を進める必要があります。また、建設業の知識とデジタル技術の両方を理解できる人材の育成が重要です。

 

特に現場作業員向けのデジタルトレーニングプログラムの開発や、若手労働者のデジタルスキル向上支援など、具体的な育成施策の実施が求められます。

導入コストと投資対効果

DXの導入には、システム構築費用やライセンス料、人材育成費用など多額の初期投資による負担が課題です。

 

特に、中小企業にとって高額な導入コストは負荷が大きいと言えます。また、投資に対する効果測定が難しく、段階的な導入計画の策定や補助金の活用など、慎重な計画が求められます。

 

効果を最大化するためには、自社の業務プロセスを詳細に分析し、優先度の高い領域から段階的に導入を進めることが重要です。業界団体や同業他社との共同投資や、クラウドサービスの活用など、コスト負担を軽減する工夫も求められます。

業務プロセス移行のリスク

既存の業務プロセスからデジタルシステムへの移行には、さまざまなリスクが伴います。

 

たとえば、建設業界は業務の特性上対面での打ち合わせが重視される傾向です。複数の関係者と業務を進める中で、情報を現場に集約するほうが安心できる場面もあり、すぐにオンラインでのやりとりに切り替えるのは難しいと言えます。

 

長年培ってきた業務フローや慣習が多くある中で、急激なデジタル化による混乱や生産性低下についても考慮してDX化を進めなければなりません。新システム導入に伴う情報セキュリティの確保や、データ移行時のトラブル防止も重要な課題です。

 

移行リスクを最小限に抑えるためには、パイロット導入による検証、従業員への丁寧な研修実施が不可欠です。システムトラブル発生時のバックアップ体制の整備や、セキュリティ対策の強化なども計画的に進める必要があります。

建設DXの導入事例

建設業界のDX化において、幅広い方法で技術革新が進んでいます。効果的にDX導入を進めることで、業務効率化や安全性向上、品質管理の強化などが期待できるでしょう。

 

ここでは、建設DX導入事例を紹介します。

BIM・CIM

BIM・CIM(Building・Construction Information Modeling)は、建設プロジェクトの3次元モデル化を実現する革新的な技術です。日本では、建築はBIM、土木はCIMと使い分ける傾向にあります。他国と比べて、日本のBIM・CIM化は遅れているのが現状です。

 

国土交通省は2019年に建築BIM推進会議を設置し、2023年には大規模工事におけるBIM・CIM原則適用を発表しました。

 

BIM・CIMの活用により、設計段階での干渉チェックや施工シミュレーションが可能になり、手戻りの防止や工期短縮が期待できます。

 

また、関係者間での情報共有が容易になり、合意形成の迅速化にも貢献します。施工段階では工程管理や品質管理に活用でき、プロジェクト全体の生産性向上につながるでしょう。

 

参考:国土交通省「令和5年度BIM/CIM原則適用について」

IoT・センサー技術

建設現場におけるIoT・センサー技術は、リアルタイムの現場管理と安全性向上に役立ちます。IoTとは「Internet of Things」の頭文字をとって略した言葉です。

 

日本では「モノのインターネット」と訳されており、重機の位置情報や稼働状況の把握、作業員の健康状態モニタリング、資材の在庫管理などに活用されています。

 

気象センサーによる現場環境の監視や、構造物の変位計測なども実施されており、作業の最適化や事故の予防に有効です。各種センサーから収集したデータをクラウド上で一元管理し、工程管理や安全管理に活用することも可能です。

 

AI・ロボット技術

建設現場におけるAI・ロボット技術の導入は、労働力不足の解消や危険な作業の自動化に大きく貢献します。

 

AIによる施工計画の最適化や、点検・測量作業の自動化、溶接や塗装などの作業を行う専用ロボットの導入が進んでいます。

 

画像認識技術を活用した品質検査や、自動運転技術による建設機械の遠隔操作も実用化されており、AI技術の発達によりさらなる業務効率化を期待できるでしょう。

 

深層学習を活用した配筋検査や、ドローンによる測量・点検作業の自動化などを積極的に導入している企業もあります。熟練工の技術をAIに学習させるなど、技術継承の課題解決にも期待が寄せられています。

まとめ

この記事では、建設業界におけるDX導入の必要性や課題、導入事例や技術について解説しました。

 

建設業界のDX化は、デジタル人材の育成や導入コストなど克服すべき課題はありますが、人材不足や業務効率化、安全性向上が期待できる取り組みです。

 

建設業界でのDX推進は今後ますます加速することが予想され、デジタル人材の採用強化が見込めます。

 

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