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ESG・SDGsコンサルタントとは|向いている人の特徴や仕事内容を解説

ESG・SDGsコンサルタントは、企業が環境や社会に貢献しつつ成長するための戦略を立案・実行する専門家です。

 

この記事では、ESGとSDGsの違い、近年注目されているESGコンサルタントの仕事内容、向いている人の特徴や必要なスキルなどについて解説します。

ESGとは

ESGとは、企業が長期的な成長と持続可能な社会への貢献を目指す上で考慮すべき、以下の3つの要素の頭文字を取った言葉です。

 

・Environment(環境)
・Social(社会)
・Governance(企業統治・ガバナンス)

 

日本では、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、PRI(国連責任投資原則)に署名して以降、積極的なESG活動が広がっています。

 

近年は投資家たちがESGに注力する会社を評価する傾向にあり、積極的にESGに取り組むことが企業の競争力強化や長期的な成長にも繋がります。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。

 

2015年に国連サミットで採択された、2016年から2030年までに達成すべき17の持続可能な開発目標を指します。国連に加盟している全193か国による、国際社会全体の共通目標です。

 

世界中の貧困・気候変動・教育などグローバルな課題を解決することを目指しています。そのため、SDGsは政府・企業・市民など、あらゆる主体が達成に向けて取り組むべき指針と言えます。

ESGとSDGsの違い

ESGとSDGsはどちらも「持続可能な社会の実現」を目指す上で重要な概念ですが、主体や対象範囲に違いがあります。

 

ESGは、企業の非財務情報を分析し、成長性やリスク管理能力を評価する指標として、主に企業活動の評価や投資判断に活用されます。

 

対象範囲は、企業活動に焦点を当てており、評価基準が企業ごとに異なる場合があります。

 

一方でSDGsは、政府・企業・市民社会など、あらゆるステークホルダーが取り組むべき共通目標として設定され、ESGと比較すると対象範囲は社会全体を対象とし、基準は17の目標が明確に定められています。

 

しかし、ESGとSDGsは相互に関連しており、企業がESG経営に取り組むことは、SDGsの達成に向けて貢献することに繋がります。

 

そのため、ESG戦略とSDGs達成への取り組みを統合的に進める企業が増えてきています。

ESGコンサルタントの仕事内容

ESGコンサルタントとSDGsコンサルタントの仕事内容は重複する部分が多くありますが、主体や対象範囲が違うことから、仕事内容が異なります。

 

ここでは、ESGコンサルタントの仕事内容、SDGsコンサルタントとの違いについて解説します。

ESGコンサルタントの仕事内容

ESGコンサルタントの仕事は、企業のESG活動におけるアドバイスやサポートを行い、企業の価値を上げ、より多くの投資を受けられるようにすることです。

 

主な仕事内容を解説していきます。

ESG戦略策定支援

ESGコンサルタントは企業の現状分析をした上で、具体的な戦略策定支援を行います。

 

ESGに関する取り組みやリスクなどを評価し、企業のビジョンや目標に合わせて戦略を策定します。省エネ法などの法規をふまえ、中長期的な目標設定のサポートも重要です。

 

策定した戦略に基づいたアクションプランも作成し、KPIを設定して進捗の管理も担当します。

ESGプロジェクトの管理

ESG関連プロジェクトにおいては、プロジェクトの計画から実行、評価までをESGコンサルタントが一貫して担います。

 

社内外の関係者と連携を取りながらプロジェクトを円滑に進め、その成果を測定し報告書にまとめるのもコンサルタントの役割です。企業が進行中のESG関連プロジェクトをマネジメントする場合は、リスク管理も合わせて行います。

情報開示支援

ESGに関する情報を収集・分析し、投資家や社会に対して透明性の高い情報開示をサポートします。

 

ESG情報開示は、ESG投資に際して企業を評価するために重要であり、明確に取り組みを伝えることで、企業の信頼性を高めるのに効果的です。

 

ESGコンサルタントがESG報告書や統合報告書の作成、格付け機関への対応などをサポートすることで、企業のESG評価向上に貢献します。

勉強会やトレーニングの実施

必要に応じて従業員に勉強会やトレーニングを実施し、企業全体のESGに関する意識を向上させるのも、ESGコンサルタントの重要な業務です。

 

従業員が、社会・環境課題への課題感を持ち、意欲的にESG活動に取り組むことで、企業全体の意識改革につながります。

 

ESGに関する最新情報や規制動向をクライアントに提供する場としても有効です。

SDGsコンサルタントとの仕事内容の違い

ESGコンサルタントとSDGsコンサルタントは、コンサルティングの範囲が異なります。

 

SDGsコンサルタントの仕事は、企業や組織がSDGsを達成するための包括的な支援を行うことです。企業におけるSDGsの浸透状況の分析など現状整理から始まり、SDGs目標の設定、具体的な戦略策定から実行支援、報告書作成まで多岐にわたります。

 

一方で、ESGコンサルタントは、企業に関する環境・社会・ガバナンスに焦点を置いた取り組みを支援し、持続可能な成長と企業価値向上を目指します。

 

SDGsはより広範な社会課題の解決を目指すための目標であり、その中で企業が重点的に取り組むべきであり、経営と投資の判断基準とされているのがESGです。

 

SDGsコンサルタントは、ESGコンサルタントより包括的に企業の取り組みを捉え、持続可能な社会への貢献を支援する役割を担っています。

ESGコンサルタントに向いている人の特徴

ESGコンサルタントは、変化が激しい現代において、今後目新しい業種として注目を集める可能性があります。

 

今後、さらに需要が伸びていくとされるESGコンサルタントに向いている人の特徴を見ていきましょう。

分析力があり、戦略的思考ができる人

ESGコンサルタントに限らず、コンサルタントとして活躍するには企業の現状を分析し、課題やリスクを特定する能力が重要です。

 

また、分析結果に基づいて、効果的なESG戦略を立案し、具体的なアクションプランに落とし込む戦略的思考力も求められます。

 

限りある経営資源を有効活用し、最大限の成果を発揮できるよう、戦略的にプロジェクトを推進できる人材が向いていると言えます。

コミュニケーション能力や調整力がある人

クライアントや社内外の関係者と円滑にコミュニケーションを取り、協働してプロジェクトを進めることで円滑なサポートが可能です。

 

価値観や立場の違いによって生じる複数の意見を洗い出し、異なる意見が少しずつ重なり合う妥協点を見つけてプロジェクトをまとめる調整力も必要不可欠です。

問題解決能力が高い人

企業ごとに異なるさまざまなESGに関わる問題に対して、論理的に思考し、解決策を見出す能力が必要です。

 

クリティカル・シンキングやロジカルシンキングを活用し、的確に問題設定した上で主体的にアクションを起こせる人材が求められます。

学習意欲が高い人

ESGに関する知識や法律は、時代に合わせて新しく変わっていくことが予想されるため、継続して学び続ける学習意欲が欠かせません。最前線で活躍するためには、常に最新の知識にアップデートしていくことが必要です。

 

またESGは日本での周知が十分でないため、クライアントとなる企業の従業員にも説明できるように、正しい知識が求められます。

ESGコンサルタントに必要なスキル

ESGコンサルタントとして活躍するために、必要とされるスキルは複数あります。どのスキルもバランスよく発揮することで、企業へ適切なサポートが可能となるでしょう。

 

ESGコンサルタントに必要なスキルを紹介します。

データ分析能力

ESG関連データは多岐にわたり、それぞれのデータを収集・分析し、課題や改善点を特定する能力が必要です。近年、ESGデータの重要性は高まっており、AI技術を用いてデータ分析を行うこともあります。

 

また、現状のデータからESG経営に関わる施策を導入するための分析だけでなく、企業のESGパフォーマンスを適切に報告するためのスキルも求められます。

プロジェクトマネジメント能力

ESG関連のプロジェクトを計画・実行・管理するマネジメント能力は、ESGコンサルタントに欠かせません。

 

プロジェクトの目標達成に向けて、スケジュール・予算・リスクの管理などを適切に行うことが求められます。複数のステークホルダーとコミュニケーションを取りながら、企業の長期的な安定性確保のため、プロジェクトをコントロールする必要があります。

レポート作成能力

投資家や顧客との信頼関係を深めるため、ESGレポートを提出し、企業の取り組みを明確にするレポート作成能力も重要です。

 

ESGコンサルタントとして高品質なレポートを作成することで、新たな人材の獲得や新しい市場への進出に寄与できる場合もあります。

特定分野の専門知識

企業の業界や事業内容によっては特定分野の専門知識が必要です。一般的に、ESGの3つの要素に関わる以下のような専門知識が求められます。

 

・環境・気候に関わる知識
・少子高齢化や貧困による格差などの社会問題に関わる知識
・法令の遵守や企業情報の開示など経営の管理体制に関わる知識

 

各分野の専門知識を有していれば、ESGコンサルタントとして具体的かつ企業の現状にあったアドバイスができます。

英語などの語学力

グローバルな企業を担当する場合は、英語をはじめとする語学力が必要であり、語学力があれば海外企業とのプロジェクトに参加可能です。

 

SDGsとESGに関する知識を深めるに際し、英語の文献などを目にする機会も想定されるため、今後ますます重要視されるスキルであると言えます。

ESGコンサルタントが所持していると有利な資格

ESGコンサルタントになるために必須の資格はありません。
しかし、特定の資格を取得することで、業務に役立つ知識やスキルを得られます。

 

ここでは、代表的な資格を紹介します。

CFA(Chartered Financial Analyst)

投資専門家として国際的に認められており、過去の合格率は25〜50%程度と難易度の高い資格です。

 

金融や投資分野に関わる知識を取得でき、ESG投資への知見を深めるのに役立ちます。

中小企業診断士

中小企業の経営課題解決を支援する国家資格です。

 

ESG経営の導入や推進において、中小企業へのコンサルティングを行う際に役立ちます。ESG経営により長期的な事業成長を後押しするに際し、横断的な知識を身につけられます。

MBA(経営学修士)

大学院で経営学を修了した人に与えられる学位であり、経営に関する実用的な学びを扱うのが特徴です。

 

仕事をしながら学べるコースを展開している大学院もあります。経営理論やノウハウを活用し、ESG経営を企業戦略に組み込む際に役立ちます。

TOEIC

TOEICスコアは英語力の客観的な指標として問われ、ビジネスで通用する700点以上が目安といえるでしょう。

 

ESGは海外企業のほうが熱心に取り組んでいる場合も多く、最新情報を収集するには一定レベルの語学力が求められます。グローバルな視点で解決すべき環境問題について、理解を深めるためには欠かせないスキルです。

まとめ

この記事では、ESGコンサルタント・SDGsコンサルタントの仕事内容や必要スキル、向いている人の特徴などを解説しました。

 

ESG・SDGsコンサルタントは、企業の持続可能な成長と企業価値の向上を目指し、環境や社会、ガバナンスに関する取り組みを支援する職種です。社会や環境への強い関心と責任感、継続的な学習意欲が求められますが、やりがいのある仕事といえるでしょう。

 

特に、現在はESGコンサルタントに注目が集まっています。

 

ESGコンサルタント・SDGsコンサルタントへの転職を検討している方は、専門的な知識を持つ転職エージェントの利用をおすすめします。

 

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