企業インタビュー
三井物産株式会社 企業インタビュー|ビジコン+室ならではの幅広い経験が、中長期的なキャリア形成につながっている
三井物産の通称「ビジコン+室(以後、BC+室)」の正式名称は「総合力推進部ビジネスコンサルティング+室」です。
BC+室では、三井物産連結グループの企業価値向上と更なる経営力強化を目指し、約500社あるグループ会社や事業本部の経営課題の改善に取り組んでいます。そんなBC+室が現在、キャリア採用を進めています。
今回は、ビジネスコンサルタントとしての経験も持ち、ポストコンサルキャリアを歩んでいる弊社代表取締役社長の大原が、外資系コンサルファームからBC+室に転職し、グループ会社の経営改善などに取り組んでいる福島慶子氏にインタビュー。
業務内容や得られた経験・スキル、今後のキャリアプランなどを伺いました。
「手触り感のある仕事」を目指し、外資系コンサル会社から転職
大原:
BC+室へ入社するまでのキャリアの流れを教えていただけますか?
福島氏:前職は外資系コンサルティングファームです。新卒入社後約6年間勤務し、最後はマネージャーとして働いていました。
コンサルティングファームを選んだのは、「やりたいことがある人をサポートする仕事がしたい」という想いからで、友人の「やりたいこと」の話を聞いたり、それについて話すのが好きだったこともあり、そうした方々を支援する仕事ができたらと考えていました。
人をサポートする仕事はたくさんありますが、なかでもコンサルティングファームを志望した理由は、早いタイミングで専門性を身に着けられること、やりたいことがある方々の役に立っているかが見えやすいこと、の2点です。
大原:
コンサルティングファームではどのようなプロジェクトを主に実施されていたのでしょうか?
福島氏:前職のクライアントは大手企業がメインでしたが、私の場合は少し特殊で、3年目のときに中堅企業の全社戦略策定案件を経験することができました。
同案件では戦略策定にとどまらず、営業担当の方と一緒に新規顧客を開拓する、新商品のパッケージやプロダクトを一緒に考える、ECページを一緒に1ページずつ改善するといったところまで携わりました。
その経験を通して、私が目指している「やりたいことがある人をサポートする仕事」は、戦略を立てることだけではなく、一緒に実務に取り組み、深く実務にコミットすることにあると感じ、コンサルタントであってもクライアントと戦略から実行まで伴走できるような仕事、投資先の企業価値を一緒に向上させるような仕事、あるいは事業会社の経営企画として会社の成長に繋げるような仕事をしたいという思いが芽生えました。
大原:
外資系コンサルティングファームで中堅企業のプロジェクトがあるのは非常に珍しいと思うので、今のキャリアに繋がる良い経験となったということですね。
とはいえ、私もコンサルタント時代そうでしたが、2~3年目のコンサルタントは大規模なプロジェクトに参画することに誇りややりがいを感じる傾向にあると思います。当時感じられていた中堅企業の支援ならではの面白さについてお聞かせいただけますでしょうか。
福島氏:手触り感が大きい部分が最も魅力でした。
実務に近い立場で従業員の皆さんと一緒に様々な施策に取り組めるため、企業や従業員の皆さんの役に立つ仕事をしているという実感がもてるのと、良い・悪い含めて結果が見えやすく、やりがいがあると感じました。
成果が出たときには、わかりやすく感謝の言葉をいただけて喜びが大きかったですし、逆に上手くいかなかったときは、関係者皆で落ち込むシビアな面もありましたが、それが自分にとっては魅力的でした。
大原:
私もコンサルタント3年目に滋賀県にある中堅企業のターンアラウンドプロジェクトに参画、会社に常駐した期間もありつつ、同じく実務に近い立場で従業員の皆さんと伴走したことが企業経営に本格的に興味を持ち、現在のキャリアに進んだ大きなきっかけになっていますので、同じような経験と感じました。
その後、どのようなきっかけで、ビジコンプラス室に転職されたのでしょうか?
福島氏:5年目にプロモーションしてマネージャーとなり、プロジェクトのセールスやチームをリードする役割がメインになったことで、結果的に手触り感のある案件に関わる機会が少なくなっていきました。
更に自分のキャリアについて考えるなかで、今後やりたいことに挑戦するうえで、業務効率化やコスト削減といったオペレーション周りに関連する経験が非常に少ない点がネックだと感じるようになりました。
「手触り感のある仕事をしたい」「コンサルタントの仕事は楽しくて続けたい」この2つの想いのバランスを考えてキャリアを模索した結果、BC+室に出会いました。
コンサルティングファームで得たスキルを活かしつつ、これまで経験したことないテーマのプロジェクトも多数あり、自身が取り扱うことができるテーマの幅を広げられ、結果的に様々な企業の役に立てる可能性が高まる点に惹かれました。
業務効率化やプロダクトの立ち上げなど、仕事の幅が大きく広がるなかでプリンシパル側に立ちたい気持ちが芽生えてきた
大原:
コンサルタントの皆さんの一般的なフラストレーションの1つがアドバイザーの立場を脱せないことであり、それが故にアドバイザーからプリンシパルに立場を変えたいと考える方が一定程度いると思いますが、福島様自身、コンサルタント時代にそのような想いがあったのでしょうか。
福島氏:コンサルタント時代は途中で手触り感のあるプロジェクトに参画できていたこともあり、特にアドバイザーであることに対するフラストレーションを強く持っていたわけではなく、またプリンシパル側に立つことを主な目的にBC+室に転職したわけでもありませんでした。
一方、入社後、やりたかった実務に近いテーマで従業員の皆さんと伴走しながら成果を出しに行くプロジェクトを重ねる中で、「自分だったらこうする」「もう少しこれをやればよくなる」という想いが強くなり、徐々にプリンシパル側に立って意思決定していきたい、という思いが強くなりました。
大原:
私自身がコンサルタントから転職した際は、プリンシパル側に立ちたいという想いが結構強かったので、ポストコンサルとして転職する方は勝手にそのような方が殆どと思い込んでいたのですが、福島さんのように転職してからその想いが強くなっているという話は非常に興味深いです。
BC+室に転職した後、その想いに至っている一番の変化を教えてください。
福島氏:BC+室では一定期間のプロジェクトを実施して終わりではなく、その後も対象企業と接点を持ち続けるため、プロジェクトで検討したことがどのように運用されているのか、当初想定通り成果が出ているかについて、コンサルティングファーム時代と比較して見えやすい環境にあります。
であるが故に、成果が出ていないと一層責任を感じるようになりました。
また、上手くいっていない理由は企業ごとに様々ではあるものの、その理由がリソース不足だったりした際に、自分がプリンシパル側に立って成果を出すべく主導的に進めたいと強く感じるようになりました。
大原:
私も成果を出すべく主体的に動けることこそがプリンシパルの醍醐味と思っていますので、その気持ち理解できます。
そのように思われているということは、ご自身でネックと感じていた業務効率化やコスト削減のようなテーマ含めて、成果が見えやすいテーマも含めて企業と伴走しているのではないかと想像しますが、取り扱うテーマはコンサルタント時代と比較して広がっていますでしょうか。
福島氏:コスト削減や業務効率化など、オペレーション周りのなかでも結果に直結するテーマの経験を多数できているのは非常に大きいです。戦略を実現するうえで必須のものなので、仕事の幅が大きく広がったと感じています。
更にコンサルタント時代と比較すると、経営課題の本質に踏み込みやすくなったと思います。
前職のファームでは、戦略策定プロジェクトで今後のアクションプランとして「リソース確保のために業務効率化しましょう」などと提案する形で終わることが多かったのですが、BC+室では「これまで検討してきた戦略の実現に向け、次は業務効率化のために棚卸をしましょう」と次のプロジェクトにシームレスにつなげることができ、実行支援が非常にしやすい関係にあります。
また、BC+室には人事コンサル出身メンバーも在籍しているため、業務効率策を検討し、理想的な人員構成が確定できた後、現在の人員構成と余剰人員を踏まえた人事施策プロジェクトにつなげることも可能です。企業の課題解決に向けさまざまな角度からシームレスに取り組めるのは、コンサルティングファームにはない良さだと感じています。
また、三井物産ではナレッジマネジメント強化に全社的に取り組んでおり、BC+室はその全社プロジェクトにもリード部署として携わっています。
社内サービスではあるものの、社内の各部署とコミュニケーションを取って実際に使用できるプロダクトをつくりこみ、PRやマーケティングをしていくというプリンシパルに近い業務内容で、他の経営改善案件とは少し違う形で、自分たちが主体的に動く面白さを実感しています。
大原:
コンサルタント時代に得たスキル・経験のうち、特にBC+室での業務において役立っているもの、一方で事業会社の方との違いを感じるスキルがあれば教えてください。
福島氏:役立っているスキルは大きく2つあります。
一つは、クライアントから受けたふわっとした柔らかい相談に対し、解決に向けた方法・検討ステップを考えるスキルです。
コンサルタント時代も「明確な原因はわからないけれど上手くいかない」という相談をいただき、課題や目標をはっきりさせるための壁打ちを多数経験しました。現職でも同じようなケースが非常に多く、解決に向けた施策立案に非常に役立っています。
もう一つは、言語化スキルです。
三井物産にいると、三井物産プロパーの方、キャリア採用で入られた方、グループ会社の方など、さまざまなバックグラウンドを持つ方と仕事をする機会がありますが、資料に落とさずコミュニケーションベースで仕事をしているケースもあり、同じ言葉を使っていても定義や伝えたいことが異なっているためにずれが生じることが少なくありません。
そのずれを整理し、一緒に議論をするために資料に落として可視化するスキルは、コンサルタント時代に培った強みだと感じています。
事業会社の方が特に強みをもたれていると感じるスキルは2つありまして、1つは目的達成に向けて社内外の方を動かすために、どのようにコミュニケーションするべきかということへの感度の高さです。
もう1つは数字に対する感度でして、コンサルティングファームで見る数字は売上から営業利益もしくはEBITDAまでが中心ですが、事業会社ではご自身が数字を背負って事業運営している方が多いため、ROIC、キャッシュフロー、在庫等、幅広い数値に対する意識が強いと感じていますし、自分も得たいスキルです。
大原:
私がコンサルティングファームから自己資金投資の会社に転職した直後、投資検討時に必要なBS/CF含む会計、税務、法務等が全く分からず、暫くの期間は付加価値をほぼ出せない状態が続き、相当苦労しました経験がありますが、まさに同じような内容ですね。
少し話は変わるのですが、私が経営する上でよく直面するケースは、ある課題に対する解決策や、会社として進む理想的な方向はあるものの、大企業と異なり中小企業が保有するケイパビリティは高くなく、理想的な方向を実現するには乖離が大きく、方法が見いだせないことです。
中小企業の経営者は、会社のケイパビリティを見極めつつ、現実的で実現できそうな様々な施策を具体化、優先順位付けをし、一定の時間軸の中でそれら施策を実現することにより会社が求める財務目標を達成できる状況をつくることと考えていますが、似たような状況があったりしますでしょうか。
福島氏:BC+室のプロジェクトにおいて、一緒にプロジェクトを進めているグループ会社のご担当者が従来業務に加えてプロジェクト対応をする必要があることから、多大なワークロードや異なるケイパビリティを求められて苦労なさっているケースはしばしば見受けられます。
我々としても、そのような状況下でどのように施策の内容や優先順位を調整し、やり切れる状況を作って成果創出につなげるかに頭を悩ませることも多いです。
具体的には、管理会計導入プロジェクトを実施した際に、対象企業の実態を極力反映させるために複雑な構造にしてしまった結果、その後の運営に向けた現場の方々への引き継ぎがうまくできなかったという経験があります。これに限らずさまざまなテーマにおいて、実態の反映と持続的な仕組み構築は相反することも多く、そのバランスを如何に取るかを日々業務を通じて学んでいます。
信頼を勝ち取るためのソフトスキルなど「経営力」が鍛えられた
大原:
BC+室での経験を通して、どのようなスキルが身に付きましたか?
福島氏:特に鍛えられたのは、信頼を勝ち取るためのソフトスキルです。
コンサルティングファームのプロジェクトは期間・目的が明確で、社内メンバーも「このプロジェクトで成果を出す」という強い意識があります。
一方、BC+室は三井物産社内の一機能であるが故、関係者の課題認識にばらつきがある状況でプロジェクトが始まることが一定程度あり、プロジェクトに参加しているグループ会社の現場メンバーの戸惑いが大きいことも多々あるため、まずは信頼を勝ち取るべく、社外のコンサルタント以上にコミュニケーションを中心としたソフトスキルが問われると感じています。
大変な部分はありますが、もし私がプリンシパルとして事業会社に行き、事業会社の皆さんと一緒に働く際には、常に起こり得ることだと思いますので、こうした経験は自分の成長に繋がっていると感じています。
大原:
私も10年以上経営に携わるなかで、成果創出に向けて企業成長や課題解決につながる施策自体の立案等のハードスキルに加えて、コミュニケーション、トライアンドエラーをしながらPDCAを高速に回し続ける等のソフトスキルは非常に重要と考えたています。
お話を聞くに、BC+室では様々なプロジェクトを通して、常に経営力が磨かれる環境があり、実際に個々人の方の成長に繋がっている印象を受けました。
柔軟な働き方ができる職場だからこそ、長期的なキャリアを築きやすい
大原:
ワークライフバランスの観点から、BC+室で働くことに関しメリットはありますでしょうか。
福島氏:当室のプロジェクトにも当然期限は設定されていますが、コンサルファームよりはやや余裕をもったスケジュールとなっており、自分にとっては子育てとの両立がしやすいと感じています。
あとは、産休・育休がキャリアにとってビハインドにならないことも魅力です。スピード感が早い職場の場合、どうしてもブランクがあると第一線に戻りにくいように思いますが、当室では産休・育休を取得したことによりキャリアが遠のくこともなく、安心して復帰できました。
大原:
ライフワークバランスだけではなく、キャリアパスの面でもメリットが大きいのですね。
福島氏:個人的には10年20年という長いスパンでキャリアを見たときに十分満足する形にできれば良いと考えています。
目標は、経営の意思決定に関わること。さまざまな経験をして成長し続けたい
大原:
BC+室でのさまざまな経験を経て、キャリアプランや目標の変化はありましたか?
福島氏:先ほどお話ししたように、プリンシパルとして事業会社に行き、経営の意思決定に関わりたいという思いが強くなりました。今は、今後グループ会社に出向し、プリンシパルの立場で事業運営をしたいという希望を伝えています。
ただ、今のように企業に伴走して成果を一緒に創出するスタイルも気に入っており、一度プリンシパル側で仕事をすることで、今後の自分のキャリアとしてどちらをより深堀していくのかを考える機会にしたいと思っています。
これからも様々な経験を通して自分に合ったキャリアを歩んでいきたいです。
大原:
お話を伺って、コンサルで身に着けたスキルを活かし、幅広いテーマに挑戦できる魅力的な場だと感じました。戦略の策定だけではなく実行フェーズまで深く関わるような、通常のコンサルティングファームでは得難い経験ができます。
手触り感のある仕事をしたい方はもちろん、事業経営者を目指す方にとっても、中長期的に確かなキャリアを築けるポジションです。ポストコンサルとして充実したキャリアを歩みたい方には、BC+室は非常に良い選択肢だと思います。