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採用戦略の立て方とは|採用成功の鍵を握るポイントを解説

目次

売り手市場が続き採用競争が激化する中で、採用戦略の重要性は増しています。

採用戦略を立てず、闇雲に採用活動を行っていても、なかなか欲しい人材は獲得できません。

 

この記事では、MWH HR Products株式会社のシニアコンサルタント 河野みづほ氏が、採用戦略の立案ポイントから採用手法の選び方、さらには新入社員のフォローアップまで、詳しく解説いたします。

 

【河野氏のプロフィール】

採用戦略とは

採用戦略とは、企業が自社の求める人材を採用するにあたって立てる戦略のことを指します。

 

企業経営において人材は重要な経営資源の一つであり、経営目標を達成するためには、事業成長へ貢献する人材の獲得が欠かせません。

 

また、多くの企業で人材不足が深刻な課題となっており、採用競争も激化しています。そのため、自社に適した人材を採用するためには、明確な採用戦略が必要不可欠となっています。

採用戦略の立て方

採用戦略を立てるうえで、大事なポイントが3つあります。

採用目的の明確化

1つ目は、採用の目的を明確化することです。

 

例えば、「他社で培った経験やノウハウを持つ人材が欲しい」「社内の年齢構成が偏っており、バランスを整えるために特定の年代の人材を採用したい」など、目的を明確にしなければ、採用成功は難しいと思います。

 

というのも、現在の採用市場は以前に比べて競争が激化しています。目的が曖昧なまま採用活動を始めると「応募が来ない」、「母集団形成が難しい」という話はよく伺っており、同じような状況に陥る可能性が高くなっています。

 

労働人口と言われる15歳〜64歳の人口は2010年頃には約82万人とされていましたが、10年後の2020年には約74万人と6万人も減少しています。

 

また、企業の採用ニーズが最も高い25歳〜35歳の人口は、16万人から13万人へ減少と、10年で20%も減少しています。 今後、人口は減少していく傾向にあり、労働人口もさらに減少していくことが予想されます。

 

こうした状況を踏まえても、採用の目的を明確化して、どのような人材を採用しにいくのか、最初に設定しておくことが重要です。

 

参考:日本の人口動態と労働者構成の変化|中小企業庁

必要な人材のターゲティング

2つ目は、必要な人材のターゲティングです。

 

ターゲティングとは、どのような人材を採用するのか明確にすることです。

転職希望者が登録しているサイトを活用して直接採用活動を行う「ダイレクトリクルーティング」という手法がありますが、これを実施していない企業は、転職市場にどのような人材がいるのかを十分に把握できていないことが多いです。

 

そのため、多くの企業では社内で活躍している方をイメージして、採用したい方を考えられるケースが多くなっています。

 

しかし、日本企業では同じ職種であっても会社ごとに役割が異なることも多く、社内の優秀な人材と同じようなスキルセットを持った方が、転職市場にほとんど存在しない場合もあります。

 

通常、私どもの場合は必要な人材像がある程度固まったら、次にその人材がどのような業界や会社にいるのか具体的に考えていきます。

 

ただし、最初からポイントを絞り込みすぎると、適した人材を見過ごしてしまう可能性があります。そのため、特に必要がない限り、業界や会社を限定しない方が良いでしょう。ゴールを狭めるのではなく、採用の目的を達成するために必要な経験やスキルを持つ人材がどこにいるのか考えることが大事です。

 

採用活動が複雑化している現状において、採用活動の目的を明確化し、採用したい人材のターゲティングを行うことは必須と言えます。

自社の魅力を伝える

3つ目は、自社が採用したい人材に対して自社の魅力を伝えることです。

 

魅力を感じて入社してもらうためには、どのようなアプローチが有効なのか考えます。

現在は、売り手市場と言われており、どのような人材を採用したいかを決めることはもちろん大切ですが、それ以上に採用したい人材に自社の魅力を感じてもらい、入社したいという気持ちを持ってもらうことが重要です。

 

採用したい人材が、どのような業界、職種、規模、立地、年収で働いているのか、これまでどのような経験を積んできて、今後どのように成長していきたいと考えているのかを推測します。

 

そして、そうした人材に魅力を感じてもらうには、どのようなポジションを用意するべきか考える必要があります。

転職希望者が重視するポイント

転職希望者が、転職を決断するポイントや転職を考えるポイントは大きく4つあります。

成長機会

1つ目は「成長機会」です。

 

個人によって「成長機会」の捉え方は異なりますが、例えば「新しい経験を積める」「経験の幅を広げられる」、マネジメント業務を担当し始める年代の方々であれば裁量や権限を求める傾向にあります。

年収

2つ目は「年収」です。

 

年収は多ければ多いほうがよく、年収アップが転職を検討するきっかけや入社の決め手になるケースは数多くあります。

働き方

3つ目は「働き方」です。

 

近年、ライフスタイルの多様化に伴い、働き方への志向も多様化しています。

 

例えば、残業に関しては、「少ない方が良い」と考える方もいれば、「特に気にしない」という方もいます。

 

また、休日についても、「多い方が良い」という方もいれば、「働く方が好き」という方もいらっしゃり、個人のニーズはさまざまです。リモートワークについては、「あると便利」と感じる方が多いため、導入することでより多くの方に魅力を感じていただけると思います。

 

さらに、最近では「女性活躍」という言葉に象徴されるように、多くの20代〜40代の女性が働いており、お子様の保育園の送り迎えや家事・育児にも時間を使えるように、柔軟な勤務スタイルが求められています。

 

最近では、夫婦で子どもの送迎を分担する家庭も増えており、男女問わず「中抜けや朝は少し遅れて出社できると助かる」といった声が増えている印象があります。

会社の風土

4つ目は「会社の風土」です。

 

以前に比べて、会社の風土を重視する方が増えている印象があります。

特に「風通しの良さ」は重要視されるポイントで、意見を言いやすい環境や、周囲とコミュニケーションを取りやすい職場が求められています。

 

マネジメントスタイルについては、、トップダウン型の企業も依然としてありますが、最近ではボトムアップ型がより好まれる傾向にあります。

 

さらに、採用過程においては、面接担当者だけでなく、実際に働く部署のメンバーとの面談を設ける企業も増えており、周囲の人々との相性も転職を決断する上で重要な要素になってくると思います。

スケジュール策定のポイント

採用に対する緊急度はその時々で異なり、スケジュールに関しては状況に応じて考えていく必要があります。

 

例えば、もう一人いれば助かるという状況の時もあれば、責任者が抜けてしまい急ぎで補充しなければならない場合もあります。

 

仮に3か月後までに必要と決まっている場合は、納期を決めて必要な人材要件を立て、期限内に採用できるように進めていく必要があります。これが、納期を最優先する場合の進め方です。

 

また、将来的に責任者のポジションを任せられるような人材を、1年ほどかけて採用したいというケースであれば、比較的時間に余裕があるため、まずはどのような人材を採用したいのかをじっくりとヒアリングします。

 

そこから戦略を立てて採用活動を進めていただき、1か月ほどで何かしら情報が得られることが多いため、1か月後に状況を踏まえて必要であれば戦略を練り直し、1年かけて適任者をじっくり探していくことになります。

採用後の教育

採用後の教育方法は職種によってさまざまですが、受け入れ体制を整えることは非常に重要です。

 

例えば、人材業界の大手企業では、約3か月の研修期間を設けて専属のトレーナーが新入社員を指導し、一人前に育てて現場に送り出す体制を整えています。また、現場で実務を経験しながら、先輩社員に質問して覚えていくケースも見られます。

 

この方法には、実務習得が早いというメリットがある一方で、教育を担当する方に負担が集中するという課題があります。さらに、業務が忙しいときには質問しにくくなることや、担当者との相性が合わない場合には育成がうまく進まないリスクもあります。

 

企業によっては、チーム全体で中途採用者をサポートする仕組みを導入しています。このような体制を整えることで、複数の人に質問をすることができ、多角的に情報を得られます。

 

また、個々との関係性を築きやすくなり、定着率の向上が期待できます。

採用手法の選び方

採用手法は大きく分けて3つのパターンがあり、状況に応じて使い分けや併用するのがおすすめです。

求人広告

1つ目は、求人広告を利用する方法です。

 

例えば、月額5万円の定額で3か月掲載する場合、費用は15万円です。

この期間中に何人採用しても費用は変わらないため、予算が明確に決まっており、一定の応募者数を見込めるポジションであれば、求人広告は効果的な手法と言えます。

人材紹介サービス

2つ目は、人材紹介サービスを利用する方法です。

 

こちらは、採用において能動的に候補者へアプローチが必要な場合に適しています。人材紹介と一言で言っても、登録型や私どものように候補者の方にお声がけをしていく両手型など、さまざまな種類があります。

 

いずれの方法も成功報酬型で、採用が決まった社員の年収に応じて一定割合の報酬をお支払いいただく契約となるため、登録型とスカウト型を併用して人材を探していくのが良いと思います。

ヘッドハンティング

3つ目は、ヘッドハンティングです。

 

一般的に転職市場に出ている方は労働人口の約3割と言われており、各企業のエース級の方は基本的に転職を検討していません。そうした方を引き抜きたいと考えている場合は、転職を希望している方にお声がけしても見つかりません。

 

そのため、特許情報や公開されている人事情報、展示会や講演会などの公開情報にお名前が出ている方にお声がけを行います。実施するにはリサーチ費用が必要となり、着手金お支払い後に、リサーチを進めます。

 

さらに、入社が決まった際にも報酬をいただくことにはなりますが、転職市場に出ていない優秀な人材の確保が可能です。状況やポジション、採用の難易度に応じてご検討いただくのが良いと思います。

リファラル採用

また、リファラル採用もおすすめです。

採用人数は多く見込めませんが、エージェントを利用する場合と比較してコストを抑えられるのが大きなメリットです。エージェントに依頼した場合の採用コストの中央値は、100万円〜500万円です。

 

一方、リファラル採用では、社員に支払うお祝い金は50万円から、多くても100万円程度が一般的です。

 

また、社員との信頼関係を活かして採用できる点も魅力です。エージェント等と並行して活用することで、より効果的な採用活動ができます。

採用戦略立案に適した人材とは

最近は事業会社にエージェントの出身者が入って採用戦略を立て、エージェントに採用を依頼する、あるいは自社でダイレクトリクルーティングを行う傾向にあります。

 

即戦力という意味では、転職エージェントで法人営業や個人営業を経験した方、あるいは両手を経験している方が活躍しやすくなっています。

 

企業で人事の経験を積んできた方に関しては、コミュニケーション能力が高い方や営業出身の方が最も望ましいと言われています。というのも、採用は一つのエージェントにお願いして完結するものではありません。

 

さまざまな方々から話を聞き、その中で「正しい」「正しくない」というよりも自社に合っていそうな情報を拾い集め、それを自社の戦略に落とし込む必要があります。そのためには、さまざまな方から多角的な視点で話を聞き出す「質問力」が必要です。

 

また、集めた情報を取捨選択し、正しい方向に戦略を立てる力も求められます。

 

話を聞いてまとめる能力、必要な情報を引き出すための適切な聞き方や話し方、情報を聞き出すためには相手との信頼関係を構築するコミュニケーション能力も必要です。

 

また、営業経験のある方が採用の責任者となり、戦略を立てるケースも多くなっています。

採用戦略に転職エージェントを活用するメリット

転職エージェントは採用戦略のお手伝いや候補者の方との面談など、採用に関する業務を中心に行っており、常に最新の転職市場情報を把握している点が大きな強みです。

 

例えば、現在の市場状況に基づいた採用方法の提案や、「最近ライバルの〇〇社の業績が低迷しており、人材が流出しています」といったタイムリーな情報を提供できます。

 

さらに、業界情報や他社の採用戦略事例の共有も可能です。

 

こうした情報をもとに適切な採用戦略を立てられるという意味では、転職エージェントは非常に意味のある存在だと思います。採用戦略を立てる際の壁打ち役として、ぜひご活用ください。

採用にお困りの企業様へ

社内に居るといつの間にか色々なことが当たり前になってしまい、自社の魅力に気づけないこともあると思います。

 

こうした場合には、転職エージェントや第三者の方と「壁打ち」を行い、自社の魅力を改めて確認いただくのがおすすめです。

 

私どもは、日々企業様の採用活動を支援する中で、多くのクライアントと接点を持ち、客観的な視点から企業の特徴をあぶり出すことを得意としています。

 

採用戦略の策定にお困りの場合や、採用活動を進めているものの理想の人材に出会えずお困りの場合は、ぜひ一度ご相談ください。私どもが何かお力になれることがあれば、全力でサポートいたします。

担当コンサルタント

  • 河野 みづほ

    自動車業界・自動車部品業界

    電気・電子・半導体・機械関連業界

    消費財業界(化粧品・日用雑貨など)

    食品業界・外食業界

    商社・流通・小売・サービス業界

    専門分野:製造、建設、事業承継ファンド

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